第60代理事長 黒木 基広

 

 

この度、新型コロナウイルス感染症に罹患された方々には謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。 また、最前線で国民の健康福祉に貢献してくださっている医療従事者、介護従事者の皆さまに心より敬意を表します。

 

「はじめに」

1949年高き志を持った青年有志により青年会議所運動の一歩が始まり、日本各地で展開されてきました。1962年、日向市にもその灯がともり60年の歳月が経ちました。多くの先輩諸兄姉が青年会議所の活動・運動に誇りを持ち、「修練」「奉仕」「友情」の三つの信条のもと様々な事に挑戦し続けてこられた歴史の先に現在の我々が存在します。

昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、医療の逼迫だけではなく、入国、出国規制等によるインバウンド需要そしてアウトバウンド需要の落ち込みや、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の時短要請や行動制限などによる個人消費の落ち込みなど、国内経済に深刻な打撃を与えています。また、そのような中、ICTを活用した会議や会合が推奨され、便利な世の中になってきましたが、その反面「人と会う」ことが少なくなり、少しずつ心の距離も離れていくように感じます。これまでの常識が非常識となり世の中はニューノーマルな新しい時代へと転換します。そのような激動の時代の中私たち青年会議所も、時代に合った「新しい青年会議所」へ変革する必要があります。しかし新時代に適した組織改革、組織運営、人財育成を行っていく必要はありますが、青年会議所の活動・運動のすべてを新時代に適合しなければならないわけではありません。地域の方と直接会い声を聴き、共に活動すること、会員同士真剣に意見をぶつけ合い時には言い争いをする中で、コミュニケーションをはかり共に成長することなど、これまで青年会議所の活動の中で当然のように行われてきたことを我々現役会員はしっかりと引継ぎ、更には次世代へと継承していきます。

本年度日向青年会議所は創立60年をむかえます。創立60周年という記念すべき年に理事長をさせていただけることに感謝をし、この節目の年にこれまでの歴史を振り返り、そこで得たものからこれからの時代に合った新しい思考を創出します。

 新しい思考を実現するには「挑戦」が必要です。このような時代だからこそ改めて設立趣意書に記されている「新日本の再建は我々青年の仕事である」という言葉を胸に刻み、様々な事に率先して挑戦してまいります。

 

「持続可能なまちづくりの実現」

日本青年会議所は2019年の京都会議にて「SDGs推進宣言」を行って以降、私たち日向青年会議所もSDGs認知度向上、また地域への波及を目的に活動してまいりました。そのような中SDGsにもとづく地方創生の活動が非常に重要であると考えます。現在日向市の人口は約58,000人ですが、2045年には約45,000人にまで減少すると予測されています。今後人口減少が続く中で、地方が将来にわたって成長力を確保するためには、人々が安心して暮らせるような、持続可能なまちづくりと地域活性化が重要です。特に人口減少が進む地域では、くらしの基盤の維持・再生を図ることが必要となります。日向青年会議所は誰一人として取り残さないことを誓うSDGsの視点から、持続可能な地域の未来を実現するための機会を創出します。

 

「地域を守る防災・減災」

現在日本は、大地震、津波、大雨、土砂災害により毎年未曾有の自然災害に見舞われています。我々が暮らす日向市も南海トラフ巨大地震、日向灘沖地震等巨大地震の発生する確率が高い地域であり、日頃より災害発生時やその後の避難所生活について意識しておく必要があります。日向青年会議所は2015年に日向商工会議所青年部、日向木の芽会の青年3団体、そして日向市と防災協定を締結しました。その協定に基づき毎年防災、減災について学ぶ機会を設け、有事の際等のお互いの役割や連携の方法を確認してまいりました。今後は更に進化させ私たちが主導となり、地域と共に防災、減災について学び、日向市が安心して暮らせる地域となれるよう取り組んでまいります。

 

「明るい未来を子ども達へ」

目まぐるしい時代の流れまた環境の変化の中で、子ども達を取り巻く環境も大きく変化し、将来への希望を失う子どもが増えています。また、日本の子ども達は諸外国と比較した際に、自己肯定感が低いという統計結果が出ています。この自己肯定感の低さは自身の可能性を信じることができず、夢を持つことを困難にしてしまう可能性があります。夢を持つことは、子ども達の成長にとって非常に大切なものです。それは、夢は想像力を膨らまし、豊かで明るい未来を創造する力となると同時に、夢を実現するには努力が必要であることを教えてくれるからです。小さな成功体験を積み重ねることで感じることのできる自己肯定感により、自分を愛すことができ、また自分の夢へ邁進する力を信じることができます。その力はやがて大きな挑戦を生み、次代を担う人材へと成長していきます。本年度は子ども達が、成功体験を経験し自己肯定感を育むことで、夢や目標を持てるよう、共に挑戦してまいります。

 

「ビジネス機会の提供」

これまで、青年会議所は長年にわたり社会貢献に尽力する反面、ビジネスはタブーとされていました。しかし、2018年に日本青年会議所の定款にビジネスの機会の提供が明記されたことで、会員に幅広いビジネスの機会を直接的に提供することができるようになりました。会員の企業が発展することにより、地域経済の充実にもつながります。今後はコロナウイルス感染症により企業におけるIT化の推進や働き方の変化が更に加速しています。それに伴い業態変化や新規事業の立ち上げの動きが活発になっていくと考えられます。こうした状況下で会員の企業が発展していくには、現状に満足することなく「挑戦し続ける」ことが必要です。企業は世の中をよくするために存在しています。本年度はビジネスを通して世の中の課題を自ら考える「思考力」や、それに対して自ら行動する「主体性」を学ぶ取り組みを行い、地域経済の充実へと繋げてまいります。

 

「創立60周年を迎えるにあたって」

本年度、日向青年会議所は創立60周年という大きな節目の年を迎えます。これまで、私たちの活動や運動にご理解とご協力をいただきました市民の皆様や行政・他団体、そして運動を紡いでこられた先輩諸兄姉に感謝と敬意を表すと同時に、すばらしき伝統を今後も引き継いでいくことを誓います。しっかりと60年間の歴史の重みを受け止め、今まで築き上げてきた関係性をより強固にし、さらには新しいパートナーシップの構築を行います。そして今後70年、100年と地域に必要とされ続けるような団体となれるよう精進いたします。

 

「次の時代を創造する人財の育成と組織改革」

近年日向青年会議所は在籍歴が長く、経験豊かな先輩が数多く卒業され、私を含め会員の大多数が在籍歴5年未満というこれまで日向青年会議所が経験したことのない状況です。日向青年会議所をこの先継続させていくためには、会員全員がJAYCEEとしての能力を向上させること、そして日向青年会議所としての組織力を向上させることが必要となります。その中でも会員拡大は組織力向上を行う為には、必要不可欠な取り組みとなります。青年会議所の会員拡大は「数的拡大」の時代から、「理念共感型拡大」の時代へと移行しています。我々の活動、運動などの理念に共感し、自分たちが住む地域に関心を持ち、地域や未来ある子ども達のために行動する仲間を増やすことが大事です。それこそが青年会議所運動の根幹であり会員拡大の目的であると考えます。すべての会員が自信をもって大切な人を入会させたいと思える魅力ある団体となるために、組織改革、組織運営に取り組んでまいります。

 

「おわりに」

 私が仕事をしている理由は、家族を笑顔にするためです。そして日向青年会議所で活動している理由は自分の生まれ育った日向市を笑顔にするためです。地域を笑顔にするということは、青年会議所で行うすべての活動・運動に共通する最終目標であると言えます。そしてその笑顔の先には明るい豊かな社会が存在すると確信しています。会員の一人ひとりが未来に向け前向きに成長していく意識を持つことで、地域の未来はきっと変えられます。明るい未来のために私と一緒に挑戦しましょう。そして、より良い日向青年会議所と、日向市の未来を目指し1年間共に成長してまいりましょう。

 

スローガン 「温故知新」

テーマ   ~歴史と新時代の融合~